身内の方が亡くなって相続手続きを行う場合、色々な戸籍謄本が必要になります。初めて相続手続きを行う方は、何をどうやって集めたらよいか分からない人も多いでしょう。この記事では、どのような相続手続きでどのような戸籍謄本が必要になるかを紹介します。

また、戸籍謄本を取り寄せる方法や特殊な相続の場合に必要な戸籍謄本についても解説します。


戸籍謄本が必要な相続手続きとは?

相続時に戸籍謄本が必要になる手続きは、相続税の申告、不動産の相続登記、預貯金や証券口座の名義変更、相続放棄または限定承認です。おそらく、預貯金の名義変更は大半の人が行うでしょうから、相続が発生したときは、大抵戸籍謄本も集めなければいけないことになります。

相続の手続きにはどんな戸籍謄本が必要?

被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの戸籍謄本と相続人全員の現在の戸籍謄本が必要です。被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本は相続人を確定するために必要になります。

この戸籍には、被相続人が生まれてから死ぬまでの親族の情報が全て記されています。つまり、被相続人の両親、兄弟、配偶者、子供の情報が記されているので、法的な相続人が誰かということを読み取ることができるのです。

そして相続人全員の戸籍謄本は、確定できた相続人が現在生存していることを証明するために必要になります。

被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本で必要になる改製原戸籍

たぶん、この戸籍を集めるのが大変な方も多いでしょう。被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本とは

1.死亡時の全事項を記載した戸籍謄本(除籍謄本)

2.上記の戸籍事項欄に「改製」の記載があれば、改製前の原戸籍(はらこせき)※

3.出生までの戸籍が集まらなければ、それ以前の戸籍がある場所での被相続人に関する全戸籍謄本2、3は出生の記述が見つかるまで繰り返し集める必要があります。※改製原戸籍(かいせいはらこせき)といいます。ここで改製原戸籍という聞き慣れない戸籍が出てきました。

実は戸籍は何回か記述形式や内容が修正されており、修正前と修正後で記述されている内容に欠落等が出たときのために、修正前の戸籍も全て保存されています。この修正前の戸籍のことを改製原戸籍といいます。そして今の時点(2018年)で出生までの戸籍を辿るためには、ほとんどの場合改製原戸籍が必要になります。

なぜなら現在のコンピュータ化された戸籍ができたのは平成6年であるため、現在の戸籍のみで出生から死亡までの戸籍謄本を集められるのは24歳以下の人ということになります。大多数の被相続人は24歳より上の年齢でしょうから、相続人確定のためには改製原戸籍が必要ということになります。

ちなみに戸籍の形式は現在までに大きな変更が2回、小さな変更は2もしくは3回(市町村によって異なる)ありました。そのため、長生きした人ほど、集める改製原戸籍が多くなります。

相続人の戸籍謄本は何が必要?

相続人は現在の本籍地で自分の戸籍謄本を取得します。戸籍抄本でもよい場合がありますが、戸籍謄本の方が確実で、取得に必要な手数料も同じなので戸籍謄本を取っておきましょう。また、被相続人の戸籍謄本に相続人も記載されていれば、その相続人の戸籍謄本をとらなくてもよい場合があるので確認しましょう。

戸籍謄本の具体的な取り寄せ方

まず、被相続人の死亡後1週間程度で死亡の記載がある戸籍が入手できるようになるので、被相続人の本籍地にある役所で被相続人の全ての戸籍を取得します。本籍地が分からない場合、被相続人が住んでいた場所の役所で住民票徐票を取り、本籍地を確認します。

戸籍謄本の取得には、戸籍交付申請書(各市区町村が定める様式に必要事項を記載)、印鑑(朱肉を使う印鑑であれば認印でも可)、本人確認書類(運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなど)が必要です。戸籍謄本の取り方が分からなければ、窓口の人に「相続で○○(被相続人の氏名や自分との続柄)の出生から死亡するまでの全部の戸籍謄本を取りたいんですけど」と相談すれば教えてくれます。

また、そこで出生までの戸籍が取れなければ、「この先の戸籍謄本はどこにありますか?」と聞けば、よほど複雑でない限り教えて貰えます。この場合、教えて貰った場所の役所で同じ事を行います。出生の記載がある戸籍謄本まで辿り着けば完了です。

役所で分からなければ、自分で一番古い戸籍からそれ以前の戸籍のある場所を読み解く必要があります。戸籍が他の場所にもあるのは、被相続人が本籍を移した場合、被相続人の親が別の場所で結婚して被相続人が生まれた後本籍を移した場合、被相続人が別の場所に本籍のある人と結婚して新たな戸籍が作られた場合など、色々な可能性がありますが、戸籍を丹念に読めば必ず分かるはずなので、頑張って読み解きましょう。

郵送で取り寄せる場合

戸籍のある場所が遠方の場合、郵送で請求します。自分の住んでいる場所の役所の戸籍交付申請書(記載、押印済み)、本人確認書類のコピー(運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなどのコピー)、手数料に相当する定額小為替、返信用封筒と切手を同封して送付します。

手数料は改製原戸籍がある場合も考えて多めにしておきましょう。不足すると不足額の請求通知が送られてきて、こちらから不足額をおくるという手間が発生するので4枚分くらいは多めにしておきましょう。もし送られてきた戸籍謄本を見て出生まで辿れなければ、それ以前の戸籍のある場を確定し再度郵送で請求します。

手数料など

戸籍謄本の交付手数料は1通あたり450円、古い戸籍である改製原戸籍謄本や除籍謄本の交付手数料は1通あたり750円です。先に書いたように、出生から死亡までの戸籍謄本には改製原戸籍が含まれる場合が多いので、その分だけ手数料が必要になります。

特殊な相続の場合

相続で最も多いのは、被相続人の配偶者と子供が相続する場合です。この場合は「被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本」と「相続人全員の現在の戸籍謄本」があれば問題ありません。しかし、さらに複雑な相続関係を確定しなければならない場合も存在します。

たとえば相続人が亡くなっている場合(代襲相続)や兄弟姉妹が相続人になる場合です。

相続人が亡くなっている場合(代襲相続)

相続人が亡くなっている場合、その方に子供がいるなら、その子供が相続人となります。これを代襲相続といいます。代襲相続では「被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本」と「相続人全員の現在の戸籍謄本」に加え、亡くなった相続人(被代襲者)の出生から死亡までの戸籍謄本、代襲相続人全員の現在の戸籍謄本も必要になります。

これらの戸籍謄本で誰が代襲相続できるかを確定します。

合わせて読む:相続人の権利や税控除について知っておこう

兄弟姉妹が相続人になる場合

被相続人の兄弟姉妹が相続人になるのは、配偶者の有無にかかわらず、被相続人に相続人となる子供が無く、被相続人の直系尊属(実の親や祖父母など)が亡くなってる場合です。

この場合、上記の事実の確認と、被相続人と兄弟姉妹の関係であることを証明する必要があります。兄弟姉妹が相続人の場合、「被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本」と「相続人全員の現在の戸籍謄本」に加え、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本(相続人となる子供がいないことの確認)、被相続人の両親の出生から死亡までの戸籍謄本(直系尊属が亡くなっていることの確認と相続人と兄弟姉妹であることの証明)も必要になります。

どうしても集められない場合

取りにいく時間がなかったり、出生までの戸籍にたどり着けなかったりした場合、特殊な事情で何十通もの戸籍謄本を取り寄せる必要が生じた場合など、自分では集められそうにない場合、行政書士や司法書士などの専門家に依頼することもできます。

数万円のお金はかかりますが、自分で解決できないことも専門家なら何とかしてくれます。最後の手段として覚えておきましょう。※専門家に依頼する場合、委任状が必要になります。